知られざるローマ③ Roma sconosciuta 3

知られざるローマ③ Roma sconosciuta 3

四旬節のマリトッツォ Maritozzo quaresimale

知られざるローマ③では、ローマのお菓子マリトッツォMaritozzo(複マリトッツィMaritozzi)を紹介します!
マリトッツォはコッペパンのようなパンに甘さ控えめの生クリームが挟んである定番のお菓子で、ローマでは朝ごはんやおやつに食べます。
最近は東京でも増えつつあるそうですね。東京に根付いてくれることを祈ります!
ローマだけでなくマルケ、プーリア、シチリアにもマリトッツォはありますが、それぞれ少しずつ形や中身が異なります。
*写真は目黒の近くでマリトッツォのパンだけ購入して、自宅で生クリームを詰めたものです。

現在のマリトッツォは一年中お菓子屋やバールに置いてありますが、元は四旬節のマリトッツォMaritozzo quaresimaleと呼ばれており、
復活祭前の40日間である四旬節Quaresimaに食べてもよいとみなされたものでした。
四旬節の間は、食事の節制、祝宴の自粛、償いを伝統的に行ってきました。四旬節のマリトッツォは、小麦粉、油、砂糖、砂糖漬けの果物、
アニス、干しぶどうなどで作られ、16・17世紀には食べられ始めていたそうです。
四旬節のマリトッツォは、古代ローマ時代の羊飼いが食べていたものに遡るとも言われていますが、まだ詳細を調べていないの
でわかりません。

ちなみに、19世紀のローマの詩人ジョアッキーノ・ジュゼッペ・ベッリは、『四旬節』という詩sonettoを書いていて、マリトッツォにも言及しています。
四旬節とマリトッツォは切り離せないものだったのでしょう。
(*https://it.wikisource.org/wiki/Sonetti_romaneschi/La_quaresima )

Come io nun zò cristiano! Io fo la spesa,
oggni ggiorno der zanto maritozzo.
Io nun cenavo mai, e mmó mme strozzo
pe mmaggnà ott’oncia come vò la cchiesa.

Ciò avuta la scaletta, e mme sò ppresa
pe l’amor de Ggesú ssin ar barbozzo
una pianara o ddua d’acqua de pozzo,
e ll’acqua Iddio lo sa cquanto me pesa.

Io fo ar zu’ tempo li portoni rotti
10co la mazzola: io, ssciorte le campane,
sparo la divozzione de li bbotti.

Io pijjo pascua pe mmé e le mi’ poste;
e, ppe ttappo dell’opere cristiane,
fo bbenedí er zalame e ll’ova toste.

Roma, 4 aprile 1833

また、マリトッツォの名称は男性が婚約者の女性に送ったため、未来の新婦は親愛を込めて “maritozzo” という “marito”の親愛辞
vezzeggiativoで、ふざけた呼び方に由来するとも言われています。
*写真はレーゴリのショーウィンドウと内部です。


ローマのマリトッツォで個人的なお勧めは、サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂とヴィットーリオ広場近くに建つレーゴリRegoliのものです。
http://www.pasticceriaregoli.com/
レーゴリは1916年から続く老舗のお菓子屋で、最近はあまり見ることのない四旬節のマリトッツォも現在普及したコッペパン状のマリトッツォも
両方作っています。他にも美味しいお菓子がたくさんあるので、近くを通ったら是非お試しください♪
数年前に、お菓子屋の隣にバールも開いたので、隣のお菓子屋さんでお菓子を注文して、バールで美味しいカフェと一緒に楽しめます!

昔、イタリア語学校に通った時、部屋を間借りした家が近所にあり、大家さんがレーゴリを贔屓にしていたので、私もレーゴリを知りました。
ヴィットーリオ広場辺りは、中国系のお店もたくさんありますが、レーゴリだけでなく、パン屋のロショーリRoscioli、ジェラテリアの
ファッシFassiなど、ローマの老舗がいくつも残っています。
サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂、サンタ・プラッセーデ聖堂、サンタ・プデンツィアーナ聖堂などを巡って足が疲れたら、ヴィットーリオ広場
周辺のお店で休憩するのもよいかもしれません。