知られざるローマ② Roma sconosciuta 2

知られざるローマ② Roma sconosciuta 2

知られざるローマ②では、ローマに点在する人文系の研究所や図書館についてご紹介します。
ローマには、様々な国が主に19世紀からイタリアの歴史、考古学、美術に関する研究を奨励するため、研究所を創設し、優秀な留学生をローマに派遣していました。
この伝統は現在も異なる形態で続いており、ローマには各国の人文系研究者が集まっています。

ヴィッラ・メディチ

フランスは他の国々よりも早く、17世紀後半にフランス・アカデミーAcadémie de France à Romeをピンチョの丘に建つヴィッラ・メディチVilla Mediciに創設しました。
フランスでは、ローマ賞という、絵画・彫刻・建築・版画・音楽(作曲)の部門で年に1回コンクールを行っており、その受賞者たちは数年間ヴィッラ・メディチで研鑽を積むことができました。
さらに、19世紀には歴史、考古学などの人文学のために、エコール・フランセーズÉcole française de Romeをカンポ・ディ・フィオーリ広場近くのパラッツォ・ファルネーゼPalazzo Farnese内部に創設しました。

パラッツォ・ファルネーゼ

英国は20世紀初頭にBritish School at Romeをローマ市北部のValle Giulia地区に創設しました。
アメリカは19世紀末にアメリカン・アカデミーAmerican Academy in Romeをヴァティカン近くのPalazzo Torloniaに開設した後に、20世紀前半にはジャニコロの丘のVilla Aureliaへ移りました。
もちろん、ドイツも考古学研究所Deutsches Archäologisches Institutを19世紀前半に開設し、ドイツ関連の研究所としては、スペイン階段の上、トリニタ・ディ・モンティの近くに美術史専門のヘルツィアーナ図書館もあります。
この図書館は現在マックス・プランク研究所に運営されています。
その他にもローマには、テルミニ駅近くに国立中央図書館Biblioteca Nazionale Centrale di Roma、考古学・美術史図書館Biblioteca di Archeologia e Storia dell’Arteなどもあります。実は日本も1962年にローマ日本文化会館を開設し、現在は国際交流基金により運営されています。日本文化に関する講演会、展覧会、映画上映会や日本語教育などで活動を行っています。

ヘルツィアーナ図書館

既に鬼籍に入られた最初の指導教授は、エコール・フランセーズに留学生として数カ月滞在した際、パラッツォ・ファルネーゼの鍵を貰っており、いつでも自由に出入りできたそうです!
ルネサンス建築のファルネーゼの鍵を貰っていただなんて、羨ましいことです。
パラッツォ・ファルネーゼは当時も現在も在イタリアのフランス大使館が置かれています。
現在、エコール・フランセーズに入るには、何度もセキュリティ・チェックを受けないといけませんから、かつては鍵を与えていたなんて考えられません。
外観の写真だけだと、3階建てのように見えますが、エコール・フランセーズは3・4階にあり、私はよく4階のpiccionaia鳩小屋と友人たちが呼んでいた屋根裏部屋のような部屋に引き籠っていました。
パラッツォ・ファルネーゼは下記のリンクでヴァーチャル・ツアーを楽しめます!
https://www.farnese-rome.it/it/index.html

アメリカン・アカデミー

アメリカン・アカデミーはジャニコロの丘の上にあるため、行きにくかったのですが、庭もあり、いい環境でした。
アメリカン・アカデミーには、奨学生が居住しているため、敷地内にはバールもレストランもあります。
レストランは敷地内にレストラン用の野菜などを栽培しており、レシピ本も出していました。ランチにはパニーノもありますが、パニーノもパスタ・リゾットなども早く行かないと売り切れていました。
パニーノがあまり口に合わなかったこともあり、レストランでは一度アスパラガスのリゾットを食べただけで、私にはいまいちでした。
他の友人たちは美味しいものを食べたことがあると言っていたので、次回の訪問で評価したいと思います。
なおジャニコロの丘の下にはトラステーヴェレ地区が広がり、ジャニコロとトラステーヴェレには、アメリカン・アカデミーだけでなく、アメリカの大学もあるため、多くのアメリカ人を見かけます。

アメリカン・アカデミーの庭