モリーゼ州ヴェナフロへの誘い②

モリーゼ州ヴェナフロへの誘い②

モリーゼ州出身のKatia校長も初めて訪れたヴェナフロについて、Olives Roadの滝沢さんがブログ記事を書いてくださいました!
2回目ではヴェナフロを詳しく見ていきましょう!

訪問に見逃せないチェックポイント!
今日ヴェナフロ訪問者に感慨深い印象を与える各史跡は、2000 年以上に渡り交差されたあらゆる文化の統合である。
ヴェナフロ歴史的中心部(チェントロ・ストーリコ)では、趣のある路地や小広場に散在するローマ時代の遺跡、個性的な歴史建造物、バロックやルネッサンス様式の高貴な邸宅、多数の優美な教会を訪問。
歴史的、建築的、又芸術的な観点から殊に際立つ宗教的建物のうち以下の教会を直に訪問:
サンタ・マリア・アスンタ大聖堂、アヌンツィアータ教会、キリスト教会、サン・フランチェスコ教会、サン・ニカンドロ修道院 (ヴェナフロの守護聖人)等、時代を超えた空間を体験。

ヴェナフロは紀元1 世紀にローマの植民地となり “コロニア ・ユリア・ヴェナフルム” (Colonia Julia Venafrum)と呼ばれ、アウグストゥスの治世には、ローマの水道橋、ローマ劇場、円形劇場 (Verlasce)、浴場などの重要な公共事業とインフラストラクチャの建設により、最大の繁栄の時期を迎える。
古民家と歴史的建造物が立ち並ぶ路地を通り抜けながら、漸くチェントロ・ストーリコの頂上辿り着くと、歴史的観点からも大変貴重な赤レンガ造りの風情のある邸宅に出くわす。
当邸宅はパラッツォ・チモレッリと呼ばれ、将来のイタリア国王であるヴィットリオ・エマヌエーレ 2 世が、テアーノ*でのイタリア統一に向けたガリバルディとの会合前夜に滞在したことから、19世紀におけるイタリア統一のシンボルの1つと見なされている。*テアーノ市(現在のカゼルタ州に位置)

◇トト(Totò) &フェルナンデルと映画ロケ地を辿る!

地元アーティスト、ラウラ・ペジーノにより描かれたヴェナフロ・州立オリーブ公園内に設置されるポスター(写真参照)でご参照頂ける様、ヴェナフロの街とオリーブ公園は、ナポリ生まれの世界的に有名な俳優 “トト” (Totò) とフェルナンデル共演、クリスティアン・ジャック監督による映画「法は法」(1958年)のセットとしても有名。当時ヴェナフロ市全体が映画のセットとなり、フィルム上ではイタリアとフランスの間にある架空のアルプスの小ボルゴ「アッソーラ」と呼ばれる。


ph. Emilio Pesino


ph. Emilio Pesino


ph. Emilio Pesino


◇サンタ・キアラ考古学博物館:
壮大な美を誇る元修道院に収容された考古学博物館には、アントニヌス時代 (紀元 2 世紀) の卓越した職人技が垣間見れるイタリアでは珍しいヘレニズム時代コピー “ヴェナフロのヴィーナス像” 、ヴォルトゥルノ川の水源からヴェナフロに水を運ぶために、ローマ皇帝アウグストゥスによって建設された約 30 km に渡るローマ水道橋建設及び管理に関わる法的および行政上の規則記載の ”タブラ・アクアリア” 等、ヴェナフロ近郊で発見されたローマ時代からの数多くの考古学的発見物が保管、展示されている。更に最先端の放射性炭素年代測定の調査により、ヨーロッパで発見された最古のチェスであると認定された世界的に有名な ”ヴェナフロのチェス” も必見。
当博物館訪問では、サムニウム人時代に遡る居留地だけでなく、ローマ時代ヴェナフルムの日常生活の様々な側面、又、帝国時代の都市開発プロジェクトを垣間見れる。



◇パンドーネ城:
ヴェナフロのチェントロ・ストーリコ(Centro Storico)の高台に位置する、巨石要塞の機能としてパルデフリード伯爵によって建てられたロンバード起源(10世紀)の古城は、14世紀にパンドーネ家によって改造、完成。当家最後の相続人エンリコ・パンドーネにより改装された優雅なイタリア式庭園、豪華なルネサンス様式の邸宅と、彼の馬を等身大で描いた卓越且つダイナミックなフレスコ画で飾られたロッジアを、ヴェナフロ平原を眺めつつ観賞。

ph. Emilio Pesino


ph. Emilio Pesino


◇ウィンター ライン ミュージアム:
第二次世界大戦に関する歴史的遺産及び意義に焦点を当て、当分野専門家の意志、研究に基づき実現された常設展示ウィンターライン戦争博物館
パラッツォ ・デ ィ・ユトリス邸宅内に設置されたウィンター ライン ミュージアムでは、戦後Venafro と Mainarde 地域で発見された貴重な写真や手紙、武器、ユニフォーム、兵士の日用品等を通じ、兵士の戦場での生活、精神状態を理解する重要な機会を共有。現在ヴェナフロ・州立オリーブ公園周囲が過去に激しい紛争の戦場となり、多数の犠牲者を出した歴史の一片を共感。

◇パラッツィーナ・リバティ:
最も特徴的なリバティ様式建造物として称賛されたヴェナフロのパラッツィーナ・リバティは、ジョアッキーノ・ルイジ・メルッチ技師によって、1900 年初頭、設計された。 当時「ラ・ペスカイア」と呼ばれる美しい湖に併設された水力発電所は、戦後シネマ・オーロラ(映画館)として市民の憩いの場となる。 現在、パラッツィーナ内には市立観光センターが併設され、ヴェナフロのオリーブ歴史的遺産又、農業伝統文化に関する常設展示を訪問可能。
戦前サン・バルトロメオ川の純粋な湧き水を利用し、パラッツィーナ地下に設立された旧水力発電所も必見。


ヴェナフロ・州立オリーブ公園 の「バーチャル ツアー」で既にご紹介したように、当公園はイタリア農林水産省 (Mipaaf** – Ministero delle Politiche Agricole, Alimentari e Forestali) から, イタリア史跡農村景観保護の歴史上最も貴重な27の田園風景の代表的一例と認証され、農村景観の開発と保全を目的とした同名国際協会***の推進委員会一員とし積極的に活動。
同史跡農村景観協会は、各々の特徴にあふれる優美な景観を、美術館に保管される絵画コレクションのような歴史的景観保護でなく、地元住民また旅人が貴重な自然環境遺産を直に体験でき、サステイナブルな社会文化活動への構築に共に参加可能な、農村地域の再生に向けた観光マネージメントを促進している。
今日、ヴェナフロ・州立オリーブ公園はマリオ・レポーレ財団(Fondazione Mario Lepore)の支援を基により明確で「共有可能な」オリーブ公園及び周囲環境景観の再活性化活動を促進。
更に、地中海レベルにおく広範囲に渡る公共および民間部門専門家とのコラボレーションを通じ、生物多様性劣化への対抗, 又、各種文化遺産伝承活動に 日々力を入れている (散策路や石壁の再生、オリーブ木立, 園内小道及び史跡の保存と普及etc…)。

**MASAF:前イタリア農林水産省>> 農林水産・食糧主権省(2022年11月~)
***Associazione dei Paesaggi Rurali di Interesse Storico: 史跡農村景観協会

文責:滝沢実加氏